エリート弁護士は契約妻と愛を交わすまで諦めない
朝起きたら、カーテンの向こうがすっかり明るくなっていた。なんだかんだで、緊張してなかなか寝付けなかった。もしかしたら、夜中に朔が来るかもなんて邪な考えが起こり、考えれば考えるほど目が冴えて眠りが吹っ飛んだ。ようやく眠れたはいいものの、目覚めたら朝の八時を過ぎていて、眠気が一気に引いた。
慌てて部屋を出てリビングに向かう。ドアを開けた瞬間、香ばしい匂いが鼻孔に届いた。
「さ、朔」
「おはよ」
キッチンに立つ朔を見ると、スーツ姿で食洗器に皿を入れていくところだった。
「ごはん、適当に作ったから食べて。俺、仕事行くから食洗器だけかけといて」
「え?あ……土曜日なのに出勤?」
「昨日休んだ分」
わざわざ休日を振り替えたのかと今になって知る。
その前に私は土曜日だからとぬくぬく寝過ごしていいわけがない。ニート生活に慣れてすっかり時間感覚が抜けきっている。しかも、寝坊したうえに朝ごはんまで作ってもらうなんて、体たらくにも程がある。
すでに朔はソファーの上に置いた鞄を持って出勤体勢。あれこれ言い訳して、仕事に行く人間を邪魔することはできない。
ただあわあわと朔の周りでたむろしていると、彼が鞄から財布を出して何かを私に差し出してきた。
「お前、これ」
「ん?なに」
勢いで受け取ってからぎょっと目を見開く。クレジットカード。しかも、黒いやつ。
「生活費とか欲しいものとか、好きに使っていいから」
「い、いいいいよ!自分の使う!」
畏れ多くてブラックカードを押し返したけど、朔はさっと避けてドアのほうへと歩き出した。
「生活に関しては俺が保障するって約束だろ。お義父さんたちにもそう言ってある。俺は仕事で昼間いないから。食材の買い出しとか頼めるか?」
「う、うん」
「じゃあ、よろしく。料理とか俺もするけど、帰ってくるの遅かったら好きに食べておいてくれていいから。あ、これ鍵な。昨日渡すの忘れてた」
玄関まで来てカード式の鍵を渡される。朔は綺麗に磨かれた黒い革靴を履くと私に向き直る。
「今日、帰りは八時前だと思う。じゃあ、いってきます」
「い、いってらっしゃい」
私が言うと、朔はさっさと広い玄関から出ていった。リビングからまったく無駄のない速さ。
慌てて部屋を出てリビングに向かう。ドアを開けた瞬間、香ばしい匂いが鼻孔に届いた。
「さ、朔」
「おはよ」
キッチンに立つ朔を見ると、スーツ姿で食洗器に皿を入れていくところだった。
「ごはん、適当に作ったから食べて。俺、仕事行くから食洗器だけかけといて」
「え?あ……土曜日なのに出勤?」
「昨日休んだ分」
わざわざ休日を振り替えたのかと今になって知る。
その前に私は土曜日だからとぬくぬく寝過ごしていいわけがない。ニート生活に慣れてすっかり時間感覚が抜けきっている。しかも、寝坊したうえに朝ごはんまで作ってもらうなんて、体たらくにも程がある。
すでに朔はソファーの上に置いた鞄を持って出勤体勢。あれこれ言い訳して、仕事に行く人間を邪魔することはできない。
ただあわあわと朔の周りでたむろしていると、彼が鞄から財布を出して何かを私に差し出してきた。
「お前、これ」
「ん?なに」
勢いで受け取ってからぎょっと目を見開く。クレジットカード。しかも、黒いやつ。
「生活費とか欲しいものとか、好きに使っていいから」
「い、いいいいよ!自分の使う!」
畏れ多くてブラックカードを押し返したけど、朔はさっと避けてドアのほうへと歩き出した。
「生活に関しては俺が保障するって約束だろ。お義父さんたちにもそう言ってある。俺は仕事で昼間いないから。食材の買い出しとか頼めるか?」
「う、うん」
「じゃあ、よろしく。料理とか俺もするけど、帰ってくるの遅かったら好きに食べておいてくれていいから。あ、これ鍵な。昨日渡すの忘れてた」
玄関まで来てカード式の鍵を渡される。朔は綺麗に磨かれた黒い革靴を履くと私に向き直る。
「今日、帰りは八時前だと思う。じゃあ、いってきます」
「い、いってらっしゃい」
私が言うと、朔はさっさと広い玄関から出ていった。リビングからまったく無駄のない速さ。