エリート弁護士は契約妻と愛を交わすまで諦めない
「これ」
「え、なに?」
「一応、婚約指輪」
「こ、こんや」
「いらないって言われたけどさ。こういうのはやっぱりちゃんとしないと俺がモヤモヤして」
私は箱と朔の顔を交互に見て、ついに固まる。結納も婚約指輪も抜きでいいと私から言った。偽装なのだからお互い極力お金を出すことは避けたほうがいい。だから、結婚式もなし。入籍までの時間が長くなると弟の結婚が次に迫ってくる。邪魔者になりたくなかったし、何よりも早く家から出たくて。本物の恋人が結ばれて幸せそうな姿を目の当たりにするのは、傷口を抉られるような感覚がする。まだ本心から祝福できそうになかったから、弟が帰ってくる前にすべて済ませた。
「え、あ……本物?」
「偽物の婚約指輪は売ってない」
「う、うん、そっか。そうだよね」
確かに偽物は売ってない。でも、私たちの関係が偽物なのに?
混乱してしどろもどろになる私に朔はゆっくりとリボンを解いていく。
「かっこいいプロポーズもないし、これくらい人並みにさせろよ」
そう言って箱を開けた。中から箱と同色の宝石箱が取り出されて、私のほうに向けて口を開かれる。
プラチナのリングに大きなダイヤが鎮座している。
……綺麗。
大粒のダイヤの周りをさらに小さなダイヤで囲い込んだ豪華な指輪。
結婚を夢見た時に何度こういう場面を思い描いたかわからない現象が今、目の前で起こっている。
驚きを通り越して無反応になる私に朔は首を傾げる。
「気に入らない?店で一緒に選んでもらおうかと思ったけどお前遠慮しそうだし、好みとか関係なく安いやつ選びそうだし。何なら選びなお……」
「いや!そういうことじゃなくて!驚いてるだけ!いや『だけ』で済ませられないけども!」
確かに連れていかれても指輪を前にした私はあわあわとして、安い値段のものに決めていただろう。
だけど、これは立派すぎる!
煌めく指輪から目が離せない。
「嵌めてみたら」
「え、いいの……?」
「いいのって、お前のだろ」
朔が破顔した。そう言われると欲に負けて、おずおずと指輪を手に取る。ゆっくりと左手薬指に伝わせていくと、いちばん奥でぴったりと嵌る。
「わぁ、すごい」
自ずと感嘆の声が漏れる。夕日の光を浴びて、ダイヤひとつ一つがきらびやかな輝きをもって私の指で瞬いている。
「え、なに?」
「一応、婚約指輪」
「こ、こんや」
「いらないって言われたけどさ。こういうのはやっぱりちゃんとしないと俺がモヤモヤして」
私は箱と朔の顔を交互に見て、ついに固まる。結納も婚約指輪も抜きでいいと私から言った。偽装なのだからお互い極力お金を出すことは避けたほうがいい。だから、結婚式もなし。入籍までの時間が長くなると弟の結婚が次に迫ってくる。邪魔者になりたくなかったし、何よりも早く家から出たくて。本物の恋人が結ばれて幸せそうな姿を目の当たりにするのは、傷口を抉られるような感覚がする。まだ本心から祝福できそうになかったから、弟が帰ってくる前にすべて済ませた。
「え、あ……本物?」
「偽物の婚約指輪は売ってない」
「う、うん、そっか。そうだよね」
確かに偽物は売ってない。でも、私たちの関係が偽物なのに?
混乱してしどろもどろになる私に朔はゆっくりとリボンを解いていく。
「かっこいいプロポーズもないし、これくらい人並みにさせろよ」
そう言って箱を開けた。中から箱と同色の宝石箱が取り出されて、私のほうに向けて口を開かれる。
プラチナのリングに大きなダイヤが鎮座している。
……綺麗。
大粒のダイヤの周りをさらに小さなダイヤで囲い込んだ豪華な指輪。
結婚を夢見た時に何度こういう場面を思い描いたかわからない現象が今、目の前で起こっている。
驚きを通り越して無反応になる私に朔は首を傾げる。
「気に入らない?店で一緒に選んでもらおうかと思ったけどお前遠慮しそうだし、好みとか関係なく安いやつ選びそうだし。何なら選びなお……」
「いや!そういうことじゃなくて!驚いてるだけ!いや『だけ』で済ませられないけども!」
確かに連れていかれても指輪を前にした私はあわあわとして、安い値段のものに決めていただろう。
だけど、これは立派すぎる!
煌めく指輪から目が離せない。
「嵌めてみたら」
「え、いいの……?」
「いいのって、お前のだろ」
朔が破顔した。そう言われると欲に負けて、おずおずと指輪を手に取る。ゆっくりと左手薬指に伝わせていくと、いちばん奥でぴったりと嵌る。
「わぁ、すごい」
自ずと感嘆の声が漏れる。夕日の光を浴びて、ダイヤひとつ一つがきらびやかな輝きをもって私の指で瞬いている。