エリート弁護士は契約妻と愛を交わすまで諦めない
「すごいキラキラしてるよ!朔!」
「うん、綺麗だな」
はしゃいで朔のほうを向くと、朔は胡座をかいた自分の膝に頬杖をついてこちらを見ていた。私を見つめるその瞳もオレンジ色に染まって、とても優し気に揺れている。心臓を掴まれる感触に慌てて顔を背ける。バクバクと心臓がうるさくて波音が遠くなった。
「わ、私の指のサイズよくわかったね」
「おばさんが家にある指輪のサイズで調べてくれた」
「お母さん……」
本当にあれこれと手を回してくれている。まぁ、年頃の娘が病んでいたところに安心して任せられる親友の息子が現れたこと自体がこれ以上ない幸運だと思っているだろうから、何かと協力したくなるのもわかる。
「柚瑠」
嬉々として指輪のサイズを教える母を想像していたら、朔に呼ばれた。振り向くと、朔は胡座を崩してこちらに身体を向けた。
「この世の中には、一定数どうしようもないくだらない人間がいる」
「うん……」
「でも、俺は何があってもお前を傷つけない。約束する。お前が立ち直れるように支える」
彼の真剣な眼差しがまっすぐ向けられて、言葉も耳からじんと胸に痺れ渡っていって鼻の奥がつんとした。
ずるい。こんなこと言われたら、嬉しくて泣きそうになる。
ありがとうと言おうとしても、うまく声が出てこなくて情けなく呼吸だけ漏れる。
「それで、早速で悪いんだが、頼みがあるんだけど」
朔の口元に苦みが滲む。落ちていく太陽で陰影が濃くなり、余計に深刻な雰囲気が漂ってくる。
「何かあった?」
「ああ、来週、例の会社のパーティーがあるんだ。俺が結婚するっていうのは伝えたんだけど、それならパーティーに婚約者を連れてこいって言われて……」
なるほど。朔に執拗に縁談を持ちかけてきた会社の社長のところだ。嘘だとバレたら一大事。だからこそ私がいるのだ。
この婚約指輪もそのためのもの。そう思うと胸の高鳴りも少し収まってくる。そっか、そうだよね。私たち、偽物だもの。
「うん、出席する」
「悪いな」
「何言ってるの。持ちつ持たれつ、でしょ?」
私だけが優遇されるわけにはいかない。契約は対等。私も朔の役に立ちたい。
「風強いな。そろそろ帰るか」
朔がゆっくりと立ち上がる。私もこくりと頷いてその後ろに続いた。婚約指輪を嵌めた左手がなんだか重く感じた。
「うん、綺麗だな」
はしゃいで朔のほうを向くと、朔は胡座をかいた自分の膝に頬杖をついてこちらを見ていた。私を見つめるその瞳もオレンジ色に染まって、とても優し気に揺れている。心臓を掴まれる感触に慌てて顔を背ける。バクバクと心臓がうるさくて波音が遠くなった。
「わ、私の指のサイズよくわかったね」
「おばさんが家にある指輪のサイズで調べてくれた」
「お母さん……」
本当にあれこれと手を回してくれている。まぁ、年頃の娘が病んでいたところに安心して任せられる親友の息子が現れたこと自体がこれ以上ない幸運だと思っているだろうから、何かと協力したくなるのもわかる。
「柚瑠」
嬉々として指輪のサイズを教える母を想像していたら、朔に呼ばれた。振り向くと、朔は胡座を崩してこちらに身体を向けた。
「この世の中には、一定数どうしようもないくだらない人間がいる」
「うん……」
「でも、俺は何があってもお前を傷つけない。約束する。お前が立ち直れるように支える」
彼の真剣な眼差しがまっすぐ向けられて、言葉も耳からじんと胸に痺れ渡っていって鼻の奥がつんとした。
ずるい。こんなこと言われたら、嬉しくて泣きそうになる。
ありがとうと言おうとしても、うまく声が出てこなくて情けなく呼吸だけ漏れる。
「それで、早速で悪いんだが、頼みがあるんだけど」
朔の口元に苦みが滲む。落ちていく太陽で陰影が濃くなり、余計に深刻な雰囲気が漂ってくる。
「何かあった?」
「ああ、来週、例の会社のパーティーがあるんだ。俺が結婚するっていうのは伝えたんだけど、それならパーティーに婚約者を連れてこいって言われて……」
なるほど。朔に執拗に縁談を持ちかけてきた会社の社長のところだ。嘘だとバレたら一大事。だからこそ私がいるのだ。
この婚約指輪もそのためのもの。そう思うと胸の高鳴りも少し収まってくる。そっか、そうだよね。私たち、偽物だもの。
「うん、出席する」
「悪いな」
「何言ってるの。持ちつ持たれつ、でしょ?」
私だけが優遇されるわけにはいかない。契約は対等。私も朔の役に立ちたい。
「風強いな。そろそろ帰るか」
朔がゆっくりと立ち上がる。私もこくりと頷いてその後ろに続いた。婚約指輪を嵌めた左手がなんだか重く感じた。