エリート弁護士は契約妻と愛を交わすまで諦めない
床を自動掃除機が掃いてくれた後を拭き掃除していく。テーブルの上も何も置かずにピカピカに磨く。
いや、花とか置いたほうが……でも、買いに行く暇ないし。
わたわたしているうちに三十分過ぎている。
まだパジャマのままだったのを思い出して、自分の部屋に飛び込む。今は部屋を京子さんに明け渡して、ウォークインクローゼットを整理して自分の部屋にしている。
前よりは狭いけどこれはこれで必要なものがすぐ手に届くし、元々持ち物も少ないので窮屈な感じもしない。広すぎる部屋よりも落ち着く。
とりあえず目についたモスグリーンのフレアスカートのワンピースを着て化粧をする。髪をアイロンで巻いているうちにインターフォンが鳴った。髪の撥ねを正すのに時間がかかった。特段凝った化粧でも服装でもないけど、仕方ない!
待たせられないとインターフォンの前に行くと、里見さんがカメラの向こうでにこにこしていた。
「は、はい!」
「あ、里見です」
「今開けます!」
ロックを解除する。あれ、よく考えたら私が下に持っていってあげればよかったのでは?でも、門前払いみたいになる?
「あ、封筒」
肝心の封筒を忘れてはいけないと、朔の部屋に向かう。
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