エリート弁護士は契約妻と愛を交わすまで諦めない
え、ほんとに私でいいの!?
よくわからないうちに神崎さんとお昼に行くことになっている。でも、ここで拒絶するのも失礼すぎる。少し悩んだけど、私は頷いて京子さんに頭を下げた。
「それでは、お先にいただきます」
「はいはーい」
パソコンに向き合いつつ、手を振ってくれる。社長室から出て、鞄を持ち、コートを羽織ったのだけど未だに気乗りはしない。
神崎さんとふたりだけってどうなんだろ……。
他に社員さんも誘うかと思いきや神崎さんは特に誰に声をかけることもなく、私と並んでオフィスを出る。
そうか、流れで奢りになってしまったから、そんなに人数増やせないよね。
大して親しくもない新米の私とランチなんて神崎さんにとって何のメリットもないのに。ああ、ここはやっぱりお代は私が出しますと言うべき?いや、それも年上の方には失礼かな?
さりげなく、お会計の時に自分で払うようにしよう。
エレベーターは誰も乗っていなかった。密室で男性とふたり。少し身構える。どうしても、気持ち悪くなったらどうしようかと思ってしまう。神崎さんが嫌いなわけではなく、身体の反射だ。
少しずつ会社で働き始めて、朔以外の男性にも慣れてきてはいる。でも、まだふたりきりで、特に密室だと過去の吐き気やら目眩やらを起こしたことを思い出し、発作が起きないかビクビクしてしまう。
「はぁ、避けられてるな」
「え!?」
神崎さんのため息混じりの呟きが静まった籠の中に落ちてきて、思わず声を上げてしまう。
こ、これは悟られている!私の態度があまりに悪いから!?
「あ、あの!私、そんなつもりじゃ!多少、ビビッてはいますが、避けては!」
「え、前田さん俺にビビッてるの?」
「はっ!?そ、それはっえっと……」
「あはは、正直でいい子だね」
なんだかわからないけど、笑って褒められた。どうやら、さっきの言葉は私に向けられたものではなかったらしい。
そう気づいた頃には、いろいろ遅すぎて恥ずかしさから岩みたいに固まるしかなかった。
「俺が言ってるのは社長のこと」
「社長?」
「そう、避けられてるんだよねぇ。ここ二週間」
ビルから出て道をゆっくり歩いていく。オフィス街ということもあって私たちのようなランチに向かうサラリーマンやOLの姿が多く見られる。その中でひときわ背の高い神崎さんは背中を丸くして落ち込み気味。
なんだろうか。仕事で社長と対立したとか?
よくわからないうちに神崎さんとお昼に行くことになっている。でも、ここで拒絶するのも失礼すぎる。少し悩んだけど、私は頷いて京子さんに頭を下げた。
「それでは、お先にいただきます」
「はいはーい」
パソコンに向き合いつつ、手を振ってくれる。社長室から出て、鞄を持ち、コートを羽織ったのだけど未だに気乗りはしない。
神崎さんとふたりだけってどうなんだろ……。
他に社員さんも誘うかと思いきや神崎さんは特に誰に声をかけることもなく、私と並んでオフィスを出る。
そうか、流れで奢りになってしまったから、そんなに人数増やせないよね。
大して親しくもない新米の私とランチなんて神崎さんにとって何のメリットもないのに。ああ、ここはやっぱりお代は私が出しますと言うべき?いや、それも年上の方には失礼かな?
さりげなく、お会計の時に自分で払うようにしよう。
エレベーターは誰も乗っていなかった。密室で男性とふたり。少し身構える。どうしても、気持ち悪くなったらどうしようかと思ってしまう。神崎さんが嫌いなわけではなく、身体の反射だ。
少しずつ会社で働き始めて、朔以外の男性にも慣れてきてはいる。でも、まだふたりきりで、特に密室だと過去の吐き気やら目眩やらを起こしたことを思い出し、発作が起きないかビクビクしてしまう。
「はぁ、避けられてるな」
「え!?」
神崎さんのため息混じりの呟きが静まった籠の中に落ちてきて、思わず声を上げてしまう。
こ、これは悟られている!私の態度があまりに悪いから!?
「あ、あの!私、そんなつもりじゃ!多少、ビビッてはいますが、避けては!」
「え、前田さん俺にビビッてるの?」
「はっ!?そ、それはっえっと……」
「あはは、正直でいい子だね」
なんだかわからないけど、笑って褒められた。どうやら、さっきの言葉は私に向けられたものではなかったらしい。
そう気づいた頃には、いろいろ遅すぎて恥ずかしさから岩みたいに固まるしかなかった。
「俺が言ってるのは社長のこと」
「社長?」
「そう、避けられてるんだよねぇ。ここ二週間」
ビルから出て道をゆっくり歩いていく。オフィス街ということもあって私たちのようなランチに向かうサラリーマンやOLの姿が多く見られる。その中でひときわ背の高い神崎さんは背中を丸くして落ち込み気味。
なんだろうか。仕事で社長と対立したとか?