客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜

 そこまで話してから、真梨子はカクテルを飲み干し、スッキリしたような表情になった。

「あなたもちゃんと彼と話しておいた方がいいわよ」
「ちゃんと……ですか?」
「そう。ただ楽しいだけで結婚するよりは、同じ価値観を持って結婚すれば、こうじゃなかったのに……なんて思わないと思うの」

 それから真梨子は二葉の背後に何かを見つけたのか、ニヤリと口の端を上げる。

「まぁ……あなたは私に言いたい放題だし、意外と大丈夫なのかしら。……ねぇ、副島くん」

 急に飛び出した"副島"という言葉に、二葉が驚いて振り返ると、入口近くの壁にへばりつくように匠が立っているのが見えた。

 匠は気まずそうに壁から離れ、二葉のそばにやってくる。それを見て、真梨子は楽しそうに笑い出した。
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