「私の為に、死んでくれませんか?」 ~君が私にキスしない理由~
「おはようございますー」
「ーだから、あいつになんの用なのか聞いているだろ!俺に先に言えよ」
いつものようにオフィスに入ると、休憩室から騒がしい声が聞こえる。一人は野島先輩で、一人は…誰だろ?休憩室を覗くと、そこには顔が赤くなり興奮している野島先輩と、こちらに背中を見せた状態で腕を組んでいる人が見えた。長い髪の毛を一つに束ねて、とても背が高いスタリッシュな男性の人だった。
「大丈夫だって、取って食ったりしないから。お前、一応自分が仕事している会社の社長だから、そんな露骨に嫌って言うのやめなよ」
「社長だからなんだよ。あいついつも暗いし、反応薄いし、何考えてるのか分かんねーんだよ」
「人をそんなふうに見た目で判断するのはやめた方が良いって言っただろ。全く、死んでもその性格は変わらないな」
「あの…どうかされました?」
恐る恐る声をかけると、二人が同時にこちらを見る。ずっと腕を組んで野島先輩を情けない顔で見ていたあの人は、私の顔を見てにっこり微笑んだ。
「あら、もしかして、そちらが今回入った新人さんの綾月利映さん?」
「え?ええ…そうですけど」
「はじめまして。私、秘書室の藤田と申します。これから私に同行してもらえますか?社長がお呼びです」
「…社長?」
そういえば、入社したけどこの会社の「社長」に会ったことがない。入社式でも顔を出していないし、未だに疑問に思っていた。で、どうして私を指名したのだろう?まさか…。私は心配になって先に聞いた。
「あの、私なにかしましたか?クビになるんですか?」
「いいえ、そんなことではないのでご心配無く」
「綾月、嫌だったら断って良いんだぞ。お前に用があるなら直接来るか、上司を通じて連絡事項伝えればいいだけの話だろ?なんで秘書まで使ってお前を呼ぶんだよ」
「いや、でも社長に呼ばれたら普通行くのが…」
「社長室に一回入ったやつは絶対出られないっていう噂がある。中でボコボコにしてレーテーの川にこっそり沈ませるっていう話だ」
「そんな、まさか…」
野島先輩は私の耳元でこっそり囁くつもりだったんだろうけど、興奮したせいかもうその声は十分漏れている。困った顔をする私を見て、藤田さんはコホン、と軽く咳をして野島先輩に言った。
「変なデマを流しているのは、むしろお前のほうじゃないか?社長はいい人だ、少なくともゴリラ、お前よりは」
「又俺をゴリラと呼んだなこの野郎!その髪の毛全部切って坊主頭にするぞこらぁあ!」
「さあ、参りましょう、綾月さん。社長が待っていますので。ゴリラは無視してください」
「ーだから、あいつになんの用なのか聞いているだろ!俺に先に言えよ」
いつものようにオフィスに入ると、休憩室から騒がしい声が聞こえる。一人は野島先輩で、一人は…誰だろ?休憩室を覗くと、そこには顔が赤くなり興奮している野島先輩と、こちらに背中を見せた状態で腕を組んでいる人が見えた。長い髪の毛を一つに束ねて、とても背が高いスタリッシュな男性の人だった。
「大丈夫だって、取って食ったりしないから。お前、一応自分が仕事している会社の社長だから、そんな露骨に嫌って言うのやめなよ」
「社長だからなんだよ。あいついつも暗いし、反応薄いし、何考えてるのか分かんねーんだよ」
「人をそんなふうに見た目で判断するのはやめた方が良いって言っただろ。全く、死んでもその性格は変わらないな」
「あの…どうかされました?」
恐る恐る声をかけると、二人が同時にこちらを見る。ずっと腕を組んで野島先輩を情けない顔で見ていたあの人は、私の顔を見てにっこり微笑んだ。
「あら、もしかして、そちらが今回入った新人さんの綾月利映さん?」
「え?ええ…そうですけど」
「はじめまして。私、秘書室の藤田と申します。これから私に同行してもらえますか?社長がお呼びです」
「…社長?」
そういえば、入社したけどこの会社の「社長」に会ったことがない。入社式でも顔を出していないし、未だに疑問に思っていた。で、どうして私を指名したのだろう?まさか…。私は心配になって先に聞いた。
「あの、私なにかしましたか?クビになるんですか?」
「いいえ、そんなことではないのでご心配無く」
「綾月、嫌だったら断って良いんだぞ。お前に用があるなら直接来るか、上司を通じて連絡事項伝えればいいだけの話だろ?なんで秘書まで使ってお前を呼ぶんだよ」
「いや、でも社長に呼ばれたら普通行くのが…」
「社長室に一回入ったやつは絶対出られないっていう噂がある。中でボコボコにしてレーテーの川にこっそり沈ませるっていう話だ」
「そんな、まさか…」
野島先輩は私の耳元でこっそり囁くつもりだったんだろうけど、興奮したせいかもうその声は十分漏れている。困った顔をする私を見て、藤田さんはコホン、と軽く咳をして野島先輩に言った。
「変なデマを流しているのは、むしろお前のほうじゃないか?社長はいい人だ、少なくともゴリラ、お前よりは」
「又俺をゴリラと呼んだなこの野郎!その髪の毛全部切って坊主頭にするぞこらぁあ!」
「さあ、参りましょう、綾月さん。社長が待っていますので。ゴリラは無視してください」