「私の為に、死んでくれませんか?」 ~君が私にキスしない理由~
この少年が完全に死んで、そして魂が分離されるまで、私はただ見守るしかできない。それが死神としての掟だ。でも、私は今深刻に悩んでいた。

もし、今からでも私が助けを呼んだら、この少年を助けられるのか?そうやって助けたら、名簿に載っている少年の寿命データはどうなるのか?書き換えされるのか、それともー。答えを見つけられないまま、私は手をゆっくり伸ばし、少年の体を触ろうとした。そして、その時…。


「おい!お前誰だ?!」


突然の大きい声に慌てて振り向いたその時、遠くに立っていた男と目があってしまった。私の顔を見た男が更に大きい声を出した。


「おい!お前誰だ!そこで待て!!」

(まずい…!)


男が走り出すのと同時に、私も駆け出した。フラッシュを消し、暗闇の中へダイブするかのように全力で体を動かす。体に当たる木や葉っぱの音たちの向こうから、男二人の会話が聞こえた。


「どうした!」

「あそこに女がいたんです!」

「女?誰だ?見られたのか?とにかく捕まえろ!!」


後ろで聞こえる足音が二つに増える。私は自分が出せる最大の速度で山の中を走った。息がつまり、さっきとは別の意味で心臓が爆発しそうになる。それでも止まるわけにはいかない。早く、早くどこかへ隠れないと…!

でも、一体どこへ隠れればいい?いくら私が魂の状態でも、今の激しい足音を隠すわけにはいかない。履いていた靴が途中で脱げ、地面に転がっていた枝や小石が薄いストッキングの足裏に刺さった時はもう我慢できず悲鳴を上げてしまった。


「あっちです!あっちから聞こえました!!」

「なんとしても捕まえろ!!早く!!」

「っ…!!!」
< 34 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop