「私の為に、死んでくれませんか?」 ~君が私にキスしない理由~
薄暗い部屋の中、私はゆっくり目を開けた。テーブルの上の時計は朝の4時半を過ぎている。

少し寒いと思ったらシーツを隣の人に半分以上奪われていた。私は相手を起こさないよう、気をつけながらシーツを自分の方へ戻した。

私は今裸で、もちろん黄泉さんも裸でいる。昨夜、黄泉さんは宣言した通り、思いっきり私の体に触れた。私も私で、夢中になって彼に抱きついて…


ー「あ…そこ、もっと…触って…あ…」

ー「君は、本当に昼の顔と夜の顔が違うね…」

ー「それは、黄泉さんだって…」


夜のことを思い出すと顔が赤くなる。黄泉さんはぐっすり眠っていて、他の誰かに見られているわけでもないのに、私は顔を隠せるよう寝返りを打った。そのまま目を閉じ、眠りを誘う。そのまま少し時間が経った頃ーなにかもそもそする音がして、後ろから長い腕がゆっくりと私の体を抱きしめてきた。


「…今何時?」

「朝の4時半です。すみません、起こしちゃいました?」

「大丈夫。君は?まさか、ずっと起きていたの?」

「いいえ、ちょっと目が覚めちゃって」


ものがはっきり見えないくらいの暗闇の中でも、背中越しの温もりだけははっきり伝わってくる。私がじっとしていると、黄泉さんが自分の顔を私の耳元へ近づけてきた。


「どうした、こっち見ないのか?」

「あの…今更ですが…恥ずかしくなって…」

「自分から誘っておいて?」

「そ、それは…」


確かに、そういう気分だったから自分から誘った。でもすぐ認められない私は、枕に顔を隠した。もう数え切れないほど彼と寝ているのに、未だに終わった後のこういうやり取りに慣れない。そんな私を見た黄泉さんは、もっと自分の体を私に密着してきた。

背中越しに感じる彼の息、そしてー徐々に大きくなる「あれ」に気が付いた時、黄泉さんの手がゆっくりと腰を撫で、流れるように私の胸を握った。大きくて長い指を動かし、遊ぶように胸をもみ始める。私はその手に自分の手を重ね、一旦止めようとした。もちろん、あまり意味はなかったけど。


「よ、黄泉さん…またはちょっと…」

「嫌?」

「嫌じゃないです…でも、明日も仕事…」

「そんなの、社長権限でなんとかなる」


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