吐息ごと奪ってよ
缶ビールを手に取り、一気に飲み干す。


「うっ、空きっ腹にはくるかも、、」


独り言も喉を鳴らす音も夜風で舞い上がっていく。


ひーくんのバカ

ずっとずっと好きだったのに。


―バシャバシャ、ジャー


ん?なに?

音のする方に視線を変えると


え?酔っぱらい?


薄暗いなか、目を凝らして見入ってしまい、水道で顔を洗い終えた人物と目が合ったように思った。


ヤバッ!

すぐに目を逸らしたけど、すでに遅かったようで。


「こんばんは。変なとこ見られちゃった。」


「…こ、こんばんは」


無視をするのも失礼かと、一応挨拶だけした。


「何かありましたか?」


「え?」


「女性がひとり、公園で缶ビールなんて、、、不自然かと気になりまして」


「そういうあなたも十分不自然に見えるけど、、、」


あはは、と笑いながら何故か近づいてくる。




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