俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
意識が戻り、目覚めてからアミールは、見る見る間に、回復していった。
だけど、何かがおかしい。
「一花、まだ手が震える。 食べさせて」
アーンと大きく口を開けて、スプーンを待つアミール。
パクリッと一口で食べると、満足そうに微笑み、また、アーンと口を開ける。
(……何なの? この可愛い生き物は!? 見た目、イケメンなのに、ギャップあり過ぎ…… こんな素直に喜ばれたら、恥ずかしいから無理、とか言えないよ…… )
元気になって、甘えてくれるのは嬉しいが、意識がある分、気恥ずかしい。
「さ、 お二人共、だいぶ体調が良くなったので、この部屋の中なら、自由にしていて大丈夫ですよ」
着替えを渡すと、着替えさせて、とアミールから服が戻される。
(……そっか、お金持ちって、使用人に着替えさせて貰うのが、普通なのよね…… )
富裕層の常識がわからない私は、アミールに言われるまま、着替えを手伝う。
パジャマのボタンを外そうと、屈むと、アミールと目線の高さが同じになって、目がバッチリと合った。
澄み切った青空を彷彿される、碧眼で見つめられ、瞬間、心臓をギュッッと、鷲掴みされた様な気持ちになる。
(うゔっ、イケメンのドアップって、心臓に悪いわ…… )
意識がないアミールを、何度も着替えさせたのに、何故か今は手が震えて、上手くパジャマのボタンを外す事が出来ない。
「……そんなにジッと見つめないで下さい」
「何故だ?」
キョトンとして首を傾げるアミールが、可愛い過ぎる。
「ずっと眠っているアミールが相手だったので、何だか緊張してしまって…… 」
「手伝おう」
私を惑わすような、魅惑する微笑みを浮かべると、ボタンを外す私の手の上に、自分の手を重ねた。
ひとつボタンが外れるたびに、アミールの、逞しく鍛えられた身体が目に入り、ドキドキと心臓の鼓動が早くなる。
目のやり場に困って、頬を染めて俯くと、フッとアミールが笑った。