俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
正直、デートや、一晩限りの誘いは、黙っていても、向こうから次々とやって来る。
この国は男女の交際については、だいぶ緩くなったが、恋愛事情、婚前交渉についてなど、古くからの文化、習慣はそのまま、受け継がれている地域もあって、色々と難しい。
寄って来る女は、商談で回った国の女が多く、かなり積極的で、裸でベットに侵入された事も有り、恐怖した。
いつか襲われるのでは無いかと、警備を強化させた。
アイシャの両親も外国籍なので、娘も当然積極的に、ガンガン攻めて来る。
数人と付き合ってみたが、どの女も、ガチャガチャと、騒ぐのは一緒で高級な物に囲まれ、俺の隣にいるのに優越感を感じているだけで、結局、こちらも石油王と言うステータスしか、見ていない。
そんな女達には、どうにも趣旨が動かない。
その間にも、浮気だ、浮気だと、アイシャは纏わりついて来て、うるさいし、婚約を正式にしている訳でもない。
興味のない彼女に、どう思われようとどうでも良い。
面倒になって放置したら、驚いた事に大事な商談中に、突然乱入して来た。
「私と仕事、どっちが大事なの?!」
と、ギャーギャーッとヒステリックに騒ぎまくる。
比べるまでもなく、もちろん仕事だ。
迷惑極まりない。
(彼女の思考はどうなっているんだ?!)
真っ赤になって、騒ぎまくる彼女を見ていたら、動物園の猿を思い出した。
「真っ赤になって、必死に付いて来て、面白いな」
何となく、あの時、カミールの言いたかった意味が、ようやくわかった。
「お前、面白いな」
と呟けば、
「アミールは私が好きなのね!」
と、今度はイヤーッ、キャーッと騒ぎだした。
(言葉も通じないのか?!)
これなら、猿の方が言葉を聞き分け、芸をするだけマシじゃないのか?と、眉を寄せた。
後日、父に彼女の家とは、どの程度の取引があるのか確認した。
正直、
(切り捨てても問題ないんじゃないか? )
と、思わせる程度だった。
おそらく、父と旧知の仲だと言う、彼女の父親の顔を、立てただけの様だった。
カミールは、俺の災難を聞くと、アハハハハーッと、腹を抱えて笑い転げ、
「アミールにも、苦手なものがあるんだね」
と、揶揄われた。