俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
久しぶりに深く眠る事が出来て、隣にある筈の温もりを手を伸ばし、無意識に探した。
冷たいシーツの感触に、意識が戻り、ベットから起き上がる。
「…… 一花? 」
昨夜の出来事が、夢ではなかったと、脱ぎ散らかした服が物語っている。
俺の腕の中で、艶めかしく喘ぐ一花を思い出して、自然に頬が緩む。
我ながら、余裕がなかったなと、恥ずかしくなる。
寝ても醒めても、俺の頭の中は一花、一色だ。
バスローブを羽織りながら、キョロキョロと部屋を見渡してみるが、一花の姿はない。
バスルームだろうか?
隣の部屋に続く開けっぱなしのドアを抜けて、彼女を探しても、姿はない。
ドキリッと、背筋から冷たいものが這い上がる。
「一花…… ? 一花! 一花?! 」
冗談だろ?
「一花!! 」
指の先が冷たくなり、顔から血の気が引くのを感じた。
取る物も取り敢えず、部屋を飛び出して、大声で一花を呼んだ。
ホテルのスタッフが何事かと、駆け寄って来る。
手分けして、彼女を探させたが、どこにも姿はなく、ホテルから忽然と消えていた。
いや、…… 気づいた時には、既にこの国から彼女は消えていた…… 。
「…… なぜだ? なぜ、黙って姿を消した…… ? 逃さない、待っていろよ、一花 お前は俺のものだ 」