スノー&ドロップス
 いじめから救ってくれた時、私は鶯くんとある約束を交わした。

 幼いながらに大人びた顔を見せていた彼は、吸い込まれるような黒い瞳をしていて、まるで魔法を操る魔術師みたいだった。


『まず、人の目を見ちゃダメだよ。茉礼(まれ)は大きな目をしてるから、(にら)んでると思われちゃうんだ』

『そうなの?』

『だから眼鏡(めがね)をして、顔は前髪で隠すこと。 そうすれば目は見えないから大丈夫』

『分かった』

『あと、ぼく以外の人と話さないで。 特に男子はダメ』

『どうして?』

『あの子の事好きなんだって勘違いされて、またいじめられちゃうよ?』

『そっか……分かった』


 水を飲むように、私はすんなりと受け入れた。鶯くんの言うことは、全て正しいから。

 中学に入学すると、更に禁止項目は増えた。


「露出は控えて、異性に触れないで 」


 ーーそうすれば、自分自身を守ることが出来る。

 当然のように、「はい」とふたつ返事をした。

 約六年間、私はずっと約束を守り続けている。
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