お砂糖味のキス
支離滅裂な事を言ってしまった……

突然質問をしたかと思えば,意味の分からないことを言われて古都も困るだろう。

幼子のような脈絡のない,ただ言いたいことだけを並べた文。

ちゃんと伝えなければ。



「古都,つまりね……僕は……」

「奏詞が何を言いたいのかよく分からないけど,私も奏詞を兄だと思ったことは1度もないよ。私ね……私,ずっと奏詞が好きなの」

「…………ぇ…」



僕は突然の出来事に,何も言えなかった。

戸惑ったわけでも,信じられなかったわけでもない。

ただ,古都の雰囲気が,とても静かで,澄んでいた。

まるでずっと言いたかったのだというように輝きを増す瞳。

深く優しい夜のような瞳に,星が降っているような輝き。

僕はただ,その僕だけを見つめる瞳を,綺麗だと思った。


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