今日も一緒に帰ろう
寝てしまったのか、私は鵜飼くんに起こされた。

身体が信じられないくらい冷たい。

肩にはスーツの上着がかけられていて、鵜飼くんの香りがする。


出なきゃ、私はここにいちゃだめ。

突然そんな衝動に駆られた。



「ごめんね、私、すぐ出るから……」


今度はちゃんと足が立ち、荷物を持って靴を履いた。


その瞬間、ぐらっと視界が揺れた。

立ちくらみなんて、ほとんどしないのに。


ぎゅっと目を瞑ると、肩に温かいものが触れた。

私は倒れることなく、鵜飼くんに支えられたんだ。



「ごめんなさい、ごめんなさい、鵜飼くん……」


今後ろを向いたら、きっと泣いているのがバレてしまう。

迷惑をかけるから、バレたくない。
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