黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜
暫くすると八重樫君は体勢が辛かったのか、また反転し、私の膝の上で深い眠りについた。

がしかし、こっちは眠れないし、動けない。

あんなに眠れないと言っていた八重樫君を起こすのも申し訳なく思ったのでそのままにしているが、映画も終わり、やることもなくなった。

仕方なく膝の上を見ると、八重樫君は優しい笑みを浮かべて眠っていた。

美しい。少なくともうちの部署ではナンバーワンの美しさだ。女性に人気が出るのは当たり前。

間が差して八重樫の頭をそっと撫でてみた。

サラサラのビューティーヘアー。

年齢が近ければ好きになっていたのかもしれない彼の頭を撫でているとなんだかほっとして、いつの間にか眠っていた。




夢の中で王子様が私の頭を優しく撫でてくれている。

嬉しいな。

王子様の顔は見えないけれど、きっととても優しくてかっこいいんだろうな。

それにしても凄くリアルな感覚。

ん? 待てよ。これ……

恐る恐る目を開ける。

目に飛び込んできたのは八重樫君の顎!
そして私が枕にしているこの温かなものは八重樫君の膝!

「あ、起きた? ずっと膝枕してくれていたみたいだったから交代した」

膝の上で寝ている私を見てにっこりと笑う八重樫が可愛すぎる! って、ときめいている場合じゃない!

急いで起き上がり正座をして軽く頭を下げた。

「それは、とんだご無礼を」

「ははは。そんな急いで起き上がらなくでも」

八重樫君は朝から楽しそうに笑っている。

「二条さんが寝ている間にこんなの見つけたんだけど、今度行かない?」

八重樫君の目線の先を見ると、先日見た純愛映画のロケ地の情報がまとめられたサイトが表示されていた。

「俺、行ったことないんだよね鎌倉」

「私もあまり行ったことないので、他の子と行った方が楽しいと思います」

これ以上、八重樫君に関わると私の身が持たないし、私の穏やかな日々が失われていくのは確実だ。

「俺は二条さんと行きたいんだけど」

八重樫君は子犬が甘えるような表情を浮かべているが、そんな顔で言われても頷く気は1ミリたりともない。

「そろそろ帰えりましょう。私も色々やる事あるので」

「えー、じゃあ朝ごはんだけ一緒に食べて」

なんだその寂しがり屋発言。
甘えてくる。可愛い顔で甘えてくる。

理性を取り戻そうと必死で堪えていると、ぐぅ〜っと私のお腹から遠慮のない音が鳴り響いた。

私のお腹にはロマンティックのロの字も記録されていないらしい。

「ほら、二条さんもお腹空いてるでしょ。行こう」

仕方ない。お腹の為に朝食付き合ってあげるか。

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