御曹司社長はイケメンで甘すぎです。
婚約者
それから数日後、私はリゾート開発事業部の仕事で、神代リゾートに来ていた。
午前中から行われた打ち合わせは、だいぶ長引き、やっと終了。
もう13時を回ろうとしている。
私は急いで会社に戻ろうと、神代リゾートの玄関を出た。
すると、目の前に、黒く大きな車が停まった。
車はピカピカに磨かれた、高級車だ。
何気なく車を見ると、そこから降りて来たのは、なんと颯真さんだ。
そして、颯真さんに続き車から降りて来たのは…髪の長い美しい女性だ。
颯真さんは、その女性が車を降りる時、優しく手を差し伸べて、その女性に微笑んだのだ。
私は咄嗟に、颯真さんに見つからないよう、柱の陰に隠れた。
なぜか心臓がドクドクとうるさく鳴り響く。
その後、颯真さんはその女性の背中に、手をそっと添えて会社の中に入って行った。
私はしばらくその場所から動けなかった。
「…きっと…仕事の関係だよね…うん…きっとそうだよ。」
私は自分に言い聞かせるように、声を出していた。