8つの怖い話
モヤはその呼びかけに反応するようにグニャリグニャリと形を変えている。


しかしそれは人の形にはならず、スライムみたいだ。


「しおり、なぁ、しおりなんだろう?」


すがるような声を上げたのは実だった。


実はベンチから立ち上がって白いモヤに近づこうとしている。


「どうしてなにも言ってくれないの? 私達のことを怒っているから?」


セナの言葉に胸がズキリと傷んだ。


まだ自転車に乗り始めたばかりのしおりのことを連れ出して、あんな坂道を走ってしまった。


その罪悪感が胸の中から溢れ出してきそうになる。


でもそれはアズサだけじゃない。
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