オスの家政夫、拾いました。3. 料理のガキ編
「はあ?こんな大きいミスしておいて部下のせいにするつもりか?これだから女はいらねぇんだよ。すぐ自分には責任ありませんーとか泣き出すからな。マジ迷惑なんだよ!」

「…申し訳ございません。編集長の仰る通りです。私の指導不足です。」

「で?どうするんだ?こんな大きいミスをしておいてどうするんだ?!」

「早速ホームページにお詫びの文章を載せます。そして来月の…」

「あーもういい!ちゃんと書類で書いて来い!5時まで!」


言いたいことだけ言って、編集長はそのまま出て行ってしまった。気まずい空気の中、彩響は頭を抱えた。もう、どいつもこいつも一切自分を助けようとしない。

いくらここで実績を出しても、編集長にはこの小さいミスで又性別うんうんの攻撃をされるだけ。周りの連中も特になにも言わないけど、きっと同じことを考えているに間違いない。限りなく否定的な思考になる自分の気持ちを抑えきれず、どんどん気持ちが悪くなってくる。そろそろ危ないと思った瞬間、再び誰かが彩響を呼んだ。


「峯野主任…。」

「今度はなに?!又なんかあるの?」


思わず叫ぶような声を出してしまった。その声にびくっとした佐藤くんが恐る恐る返事をする。


「いや、そうじゃなくて、お客さんが…。」

「ーお客さん?」

「いや、なんか普段うちによくいらっしゃるお客さんとはなんかがらがちがうつぅかなんつぅか…。とにかく、行ってみてください。休憩室で待つようにいっておいたんで。」


佐藤くんの話にますますその「お客さん」が誰なのか、全く予想がつかない。彩響は自分のノートパソコンを閉じたまま、急いで休憩室へ向かった。そして、彩響に気づき席から立ち上がる人物を見てその場で立ち止まった。


「ー雛田くん?!」

「こんにちは、彩響ちゃん。」
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