Gentle rain
俺はもう彼女を、夏目社長のご令嬢だとか、夏目の妹だとか、そんな物で飾ったりするのは、よそうと思ったのは。


「ごめん。俺が間違っていた。」

シュンした彼女が、少しだけ顔を上げてくれた。

「君は大学生なんだよな。俺からすれば、まだまだ世間知らずなのは、当たり前。」

「はい……」

「それをお嬢様だからと決め付けた、俺が悪かった。すまない。」

“ううん”と彼女は、首を横に振った。

「許してくれる?」

「はい。」

ああ、今抱きしめたいくらいに可愛いと思ってしまう。

「でも、実は兄も同じように、あまりいい顔はしないんです。」

だろうな。あの夏目じゃあ。

「あいつは美雨ちゃんの事、誰よりも大事に思っているからな。心配なだけだよ。」

「そうなんですか?」

やっと彼女から、クスクスという笑い声が聞こえてきた。
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