Gentle rain
遠くで上がっている花火が、ちょうど2階の大きな窓から、夜空に咲く花のように見えていた。

「綺麗……」

そう言った彼女の顔を見ると、自分でも笑ってしまうくらいに、クサいセリフが頭の中に浮かんだ。

「階堂さん?」

ふいに呼びかけられて、ドキッとする。

「いや、何でもない。行こうか。」

「はい。」

そう返事をした彼女なのに、まだその花火を目に焼きつけようと、その場を離れようとしない。

その姿を見て、俺は彼女に一つの提案を持ちかけた。

「ねえ、美雨ちゃん。もっと花火が綺麗に見える場所知っているから、連れて行ってあげようか。」

「えっ?どこ?」

俺は真っすぐに、上を指さした。

「上?」

「そう!」

彼女にもっと奇麗な花火を見せてあげたい。

そんな気持ちのせいか、また心が浮かれてきた。
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