Gentle rain
「あの、私……」


どうしよう

どうしよう!

何を言ったらいいのか、わからない。


「バイトが長引いてしまって、階堂さんはもう待ってはいないと思ったのに…」

だけど、来てしまった。

あなたに会いに。

私をいつまでも待っていると言ってくれた、あなたに会いに。

「でも、階堂さんが私が来るまで待ってるって、言ってくれたから…私……」




そう

あの時のあなたの、真っ直ぐで真剣な眼差しが、私をここまで運んでくれたの。


「いいんだ。来てくれたんだから。」

そう言ってあなたは、私の頬に触れてくれた。

ねえ、階堂さん。

その時私は、“時間が止まってしまったのかしら”と思ったの。

悩んでいたこと全てが、あなたの温かい手で溶かされていくのがわかった。

なのに……
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