Gentle rain
「美雨の今の表情。完全に恋愛している女の顔だよ。」

そこまで、私の顔は今の心情を写していたのか。

自分でもわからなかった。

「でもなぜか少し……苦しそうだな。」

兄さんの言葉に、私はうつむく。


「うまくいってないのか?相手と。」

私は返事をする事ができなかった。

だって上手くいくもなにも、その前に私たちは始まっていないのだもの。


「美雨?」

再び心配そうに聞いた兄さんに、もうこれ以上、心配させる事はできないと思った。

「兄さん、私、彼氏なんていないよ。」

「えっ?」

「ただ……思うことがあっただけ。心配しないで。」

兄さんのワインを飲む音が聞こえる。

「片思いなのか?」

「だから、恋愛の事じゃないよ。」

なんとか、兄さんの視点を、私たちから反らしたかった。
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