Gentle rain
彼は、菜摘さんの事を非情な人間に仕立て上げていた。

本当に菜摘さんは、そんな人間なのか。

少なくても、俺の知っている菜摘さんは、そんな欠片もなかった。

「すみません。これ以上は、何も書いてありませんでした。」

「ああ、御苦労さま。助かったよ。」


秘書の子は、頭を下げると小さな声で「失礼します。」と言った。

だが、去る間際、彼女は何かを見つけたようだ。

「この写真は……」

「そうだよ。君のお父さんと一緒に撮ったものだ。」

俺は秘書の子に、その写真を手渡した。

「ふふふ。社長がまだお若い時ですね。」

「それはそうさ。俺がまだ新人だった頃に、お世話になったからな。」

それ以上は口を出さずに、聞かれたことだけを答えるというスタンスの彼女。
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