Gentle rain
その時も案の定、求められたことだけ答え、そのまま去るつもりだったのだろう。

「そう言えば社長。」

「ん?」

「調べていて、その書類に書こうか、迷ったんですが……」

そこまで言った彼女は、また黙ってしまった。

いつもの彼女からすると、大変珍しい。

「いいんだ。何でもいいから教えてくれ。」

そう言うと秘書の子は、意を決したように、口を開いた。

「三科紘文の大学時代の同級生に、ご友人の夏目太我さんのお名前がありました。」

「夏目の?」


そうか。

夏目の大学時代の同級生か。

一旦、夏目に聞いてみるのも、一つの手だな。


「それと数年前ですが、夏目太我さんの妹さんに、関係を迫った経緯が残っていました。」

「関係?どういう関係だ?」

「すみません。そこまでは……」


あいつ……

美雨にまで、近づいていたのか。
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