Gentle rain
もし、菜摘さんと結婚することで、また仕事に生き生きしている敦弥さんを見れるのなら、私はこのままサヨナラを言える。



傷ついた心を潤すかのように、次から次へと涙がこぼれる。

もし、菜摘さんと敦弥さんの出会いが、最初から決まっているものだとしたら、私はなぜ敦弥さんと出会ってしまったんだろう。


「すみません。」

通りすがりの人にぶつかられて、私は道路に倒れ込んでしまった。

「大丈夫ですか?風邪ひきますよ?」

いつの間にか降り出した雨に、私はすっかりびしょ濡れになっていた。

「……大丈夫です。放っておいてください。」

傘を差したその人は、しばらく私を見ていたけれど、一向に動かないことに諦めたのか、そのまま私から離れて行った。





夢だったのかもしれない。

私と敦弥さんが過ごした時間、全てが夢だったのかもしれない。

菜摘さんは、森川社長のお嬢様。

だとしたら、私と敦弥さんが付き合う前に、私がプレゼントを用意した人が、そうだわ。
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