Gentle rain
「じゃあ、私はこれで。」

気付かない程に声を震わせて、彼女は俺を振り切るかのように、入口へと歩き出した。


その姿を見て、何かが俺の胸に引っかかった。

そのまま、彼女が会社を出るのを待って、俺も後ろを振り向く。


何なのだろう。

何か彼女に避けられるような事を、俺はしてしまったのだろうか。

カツン、カツン、カツンとゆっくり音を立てながら歩き、途中で俺は彼女に届けてもらった手帳を開いた。


今日の予定のところ、森川社長のホームパーティーの日時が書いてあるはず。

だが俺はそこに、目を奪われた。

【菜摘さんと食事】

バタンと勢いよく、手帳を閉じた。


- すみません。中身を見てしまって -


彼女はそう言っていた。

もし、これを彼女が見ていたら?

落ちつけ。

今度こそ落ちつけ。
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