Gentle rain
見ていたとしたって、彼女には関係ない話じゃないか。

いや。

彼女が俺を避けている理由が、これだとしたら?

三秒後、俺はクルッと振り向いて、会社の入口に向かって走り出した。


まだそう遠くには行っていないはず。

急いで辺りの道を探した。


しばらくして、道を曲がろうとしている彼女を見つけた。

「美雨ちゃん!!」

必死に叫んで、必死に走った。

曲がり角で一旦止まると、誰かが俺に声をかけた。


「階堂さん。」

顔を上げると、そこには必死に呼び止めた、彼女の姿があった。

「どうか、したんですか?」

持っていたバッグを、両手でぎゅうっと握りしめている。

「明日、やっぱり予定空けてくれないかな。」

「えっ?」

突然のお願いに、彼女は困っている。

「あの……明日、バイトが入っていて……」
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