再会した幼馴染に溺愛されています。

「うるさいぞ。朝くらい静かにしなさい。……母さん、お茶!」


「はいはい。今時そんな態度の父親いないんだからしっかりして下さいよお父さん。」


お母さんは少し面倒くさそうにしながらも熱いお茶をお父さんの前に置く。


「父さんはいつもと変わらん。」


「そんな寂しがらなくても良いじゃない。相変わらずの親父っぷりね。」


お父さんがお茶に口をつけた瞬間に夏菜が現れてそんな事言うもんだからお父さんは「ブッ!」とお茶を噴き出した。


「か、夏菜!父さんの事を親父と呼ぶなと言ってるだろ!」


「良いじゃない別に、もう立派な親父なんだから。」


それを聞くとお父さんは「ハー。」とため息をつく。


夏菜のおかげでいつもの空気に戻った気がする。やっぱりみんな緊張してるんだね。


これが私の家の日常。
何だかんだでいつもと変わらないようで少し安心する。


「親父……やっぱり娘が男作るなんて寂しいの?」


「うむ……寂しい。嫌だ。……じゃなくて!!いい加減にしなさい!」


一瞬本音を漏らしたお父さんは顔を赤くしながら夏菜を追い払う。


夏菜はニヤニヤしながら「はいはーい。」と言いながらリビングを後にした。


お父さんにありがとうとごめんねの両方の気持ちが溢れて私は不思議な感覚を覚える。
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