同居人は無口でクールな彼
「灰谷くんは、その前転校してきた……」
「あー、あいつね」
この様子だと、他のクラスメイトの名前も覚えてなさそうだ。
わたしも覚えてるわけじゃないから、人のことは言えないけど。
「あいつと仲良いんだな」
「同じ部活だし、放課後はよくのんちゃん……希美ちゃんと3人でよくいるから」
3人で漫画を描くことになったことは、話さなかった。
わたしが勝手に話すことではないと思ったから。
「…………」
聞いたのは翔哉くんなのに、返事が返ってこない。
「あのね、灰谷くんが翔哉くんと友達になりたいって言ってたの。翔哉くんも楽しいかなって思って」
ちょっとお節介だったかもしれない。
そう思ったときには、もう遅かった。