同居人は無口でクールな彼
泣きそうになるのをぐっとこらえて下を向いた。
ダメ……
涙があふれているのを、篠原くんに見られちゃう。
「あと、俺の家で暮らしてること言いふらさないようにして」
最後の篠原くんの言葉も冷たかった。
キッチンに一人取り残されたわたしの耳には、彼の言葉がはっきりと残っている。
おばさんの子供と仲良くなれるかもという淡い期待が、余計にわたしをどん底に突き落とした。
どうして、わたしは言いたいことを言葉にできないの……?
辛くて悔しくて、かなしくて。
たくさんの思いが混雑する。
そっと涙を拭いても、わたしの気持ちは晴れることはなかった。