同居人は無口でクールな彼
篠原くんが洗って、わたしが食器を拭く。
そんな光景をだれが想像できただろう。
でも、わたしは今実際に彼の隣で食器を拭いていた。
しばらく続いた無言がつらくて、思わず謝ってしまう。
「……なにが?」
彼は少し考えた後こう答えた。
「やっぱり迷惑だったかなって……」
「……なにが?」
威圧的な彼の態度で、体が委縮してしまう。
思わずお皿を落としそうになって、慌ててぐっと掴みなおした。
「あんたさ、はっきりものが言えないわけ?」
「…………っ」
篠原くんははっきりと、わたしのことを“あんた”と呼んだ。
この前は名前を言ってくれたのに。
「そういうウジウジしてるの、見てるとイライラするんだよね」
「……ごめんなさいっ」