同居人は無口でクールな彼



あの頃は翔哉くんのことを、ただ恐れていたなあ。

と、思い出して、なつかしくなる。


「前はあんなに友達なんていらないって言ってたのに、最近はどうしてわたしたちと一緒にいてくれるの?」


最初は無理矢理だったと思う。

無理矢理、翔哉くんの席の周りに集まって、勝手に談笑していた。

それがいつからか、どこかへ移動するときもずっと一緒にいてくれるようになって……


「すずたちは違うから」

「え?なにが?」

「誰も人をバカにしたりしないだろ?」


最近、意外なことばかり続いていたけど……

今の言葉が1番予想外だったかもしれない。


「前にバカにされたことあるの……?」

「まあね」


みんなが恐れている翔哉くんが……?

バカにされたことがあるっていうの……?




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