同居人は無口でクールな彼



それは知らなかった。

少なくとも、わたしがこの家にお世話になっている間は、そんなことしていなかったはず。


ということは、その前はよくやっていたのかな?

そんなことを考えながら、わたしはテーブルを拭いたりお皿を出したりと、細やかながらお手伝いをした。


「いただきます」


いつもと違う2人だけの夕食。

しかも、ご飯は翔哉くんお手製のチャーハンだ。


「おいしいよ、翔哉くん」

「……ん」


返事はしてくれたけど、翔哉くんは食べることに夢中。

いつもご飯のときは話しもしないで、ただ黙々と食べるのが彼のスタイルだ。


「ねえ、翔哉くん。聞いてもいい?」

「なに?」


2人で並んで皿洗いをした。

この家に来たばかりの頃も、こうして2人で皿洗いをしたっけ。




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