同居人は無口でクールな彼



どこから話を聞いていたんだろう。

部屋にいたはずの翔哉くんが、いつの間にかリビングにいて会話に入ってきたのだ。


「お昼まで待ってて。送ってくから」


翔哉くんはそれだけ言うと、姿を消してしまう。

おばさんは何やらニコニコしているし。

わたしはわけが分からなくて、おばさんに助けを求めた。


「翔哉ったら。鈴香ちゃんと離れるのが寂しいのね。自分からあんなこと言い出すなんて」

「え……?」

「鈴香ちゃん。悪いんだけど、お母さんのお迎えは断って、お昼まで待っててあげて。午前中の部活終わったら、すっ飛んで帰ってくると思うから」


口数の少ない翔哉くんに代わって、おばさんが丁寧に説明してくれた。


翔哉くん……おばさんの話、ほんとう……?

少しは寂しいと思ってくれてる……?




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