同居人は無口でクールな彼



“好きかもしれない”


あの言葉の続きを言いたい。


“翔哉くんのことが好きです。わたしと付き合ってください”


何度もこの言葉を頭の中で繰り返していた。

今度ははっきりと、伝えられるように――。


「わたしね、翔哉くんが――」

「あのさ、すず」


わたしの言葉にかぶせてきた。

いつもみたいに半歩後ろを歩くわたしからは、翔哉くんの顔は見えない。


「この3ヶ月、すずと暮らせてよかったよ」

「翔哉くん……」


翔哉くんから“よかった”と言われるなんて思わなかった。

でも、翔哉くんはわざとわたしの言いたいことを、言わせないようにしているみたいだった。


「翔哉くん、あのね――」

「俺、すずのお陰で意外と学校が楽しくなってきたんだ」




< 227 / 285 >

この作品をシェア

pagetop