同居人は無口でクールな彼



小さいころはお花屋さんがわたしの夢だった。

でも、特別なりたいと思っていたわけじゃない。


ただ、知っている職業が少なかっただけ。

花はきれいで好きだからという理由で言っていただけだ。

小さいころの夢なんて、そんなものだと思う。


「鈴香ちゃん、俺だって見つけられてないよ」

「え?そうなの?灰谷くんはとっくに将来の夢あるものだと思ってた」

「特別これができるとか好きなこととかないんだよね」


わたしたちももう2年生の折り返し地点に到達する。

そろそろ進路の話が出てきてもおかしくない時期だ。


2年生の終わりには遅くとも志望校を決めないといけないのに。

わたしはまだ方向も決まっていない。




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