同居人は無口でクールな彼



「あのね、翔哉くん……」


角を曲がった先にある更衣室に向かってしまう前に、翔哉くんを呼び止めた。

どうしても言っておきたかった。

あんな言葉を聞いてしまったから。


“まだな”ってことは、これから彼女になるかもしれないってことでしょう?

わたしを彼女にしてもいいって思ってくれているってことでしょう?


だったら、わたしは――


「翔哉くん、さっきの“まだな”って……」


彼女にしてくれるなら、今がいい。


「なにが?俺そんなこと言ったっけ?」

「言ったよ。どうしてとぼけるの。あのね、わたしね……」


さっきの言葉をなかったことにしようとする翔哉くん。

もう一度告白するしかないと思った。


今度はきちんとした告白を――




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