同居人は無口でクールな彼



「野々村さん、1年生の指導お願いしたでしょ?しっかりやってくれないと。初心者の子が多いんだから」


部活の面倒ごともすべて押し付けられた。

でも―――



「え?先輩、なんて言いました?」

「あの、だから……っ」

「先輩の教え方分かりにくいんですけどー」


1年生の子にも馬鹿にされっぱなし。

どうしてわたしはいつもこうなんだろう。

自分でも情けなくなる。


だから、わたしはよく放課後に一人きりの教室でこっそりと涙を流した。

家で泣くわけにはいかなかったから。

だって、お母さんに心配されちゃう。


だから、この日もわたしは部活が終わってから教室に戻って泣いた。


いつもひとりぼっちなのがさみしくて。

この気持ちをだれにもわかってもらえないのがもどかしくて。


誰もいない教室にいると、自然と涙がこぼれた。



「~~~っ」


窓の外から野球部が練習する音が聞こえてきて、余計にむなしさを感じさせた。





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