同居人は無口でクールな彼
いいように利用されていることは知ってる。
次は断ろう、次は断ろうと毎回意気込んでも、毎回引き受けてしまう。
そんなわたしはノーが言えない人間だ。
「野々村さん、また遅刻?」
「すみません、部長。わたし、クラスの子の日直を……」
「無駄話はいいから。もうみんな作業始めてるよ。さっさと準備して」
「はい……」
学校にはわたしの居場所なんてどこにもなかった。
友達もいなくて、頼れる人もいない。
教室では空気のように扱われ、部活では問題児扱い。
頑張ろうとしても、すべてが空回りしていた。
「みはるちゃん、上手~!すごいね!」
「ありがとう!かなちゃんだって上手だよ!色の使い方がきれい!」
部活中は楽しそうなおしゃべりが聞こえてくるのが日課だった。
その声はとても楽しそうで、わたしもまざりたいと何度思ったことか。
でも、わたしは今日も一人で黙々と作業をするだけ。
さみしいという感情をどこかに置いてこれればよかったのに。
そうしたら、毎日こんなさみしい思いをせずにすんだよね。