同居人は無口でクールな彼
「ごめんなさい。勝手に見て……」
だんだんと声が小さくなって、佐藤さんにきちんと届いたかわからない。
でも、彼女はすぐに傷ついた表情に変わった。
「私こそごめんなさい。急に怒ったりして。拾ってくれてありがとう」
わたしはクラスメイトの名前をフルネームで覚えている人が少ない。
でも、佐藤希美さんのことは覚えていた。
きっとそれは、彼女が一度もわたしに仕事を押し付けることがなかったからかもしれない。
まともに話したことはないけれど、彼女は一度もわたしをバカにしたことがなかった。
「あの……その漫画、佐藤さんが描いたの?」
「気持ち悪いって思った?」
「え?」
「野々村さんも気持ち悪いって思ったんでしょ!」