同居人は無口でクールな彼



わたしが近づいていることに全く気付かなかった佐藤さんは、声をかけられて体を大きく震わせる。

そして、わたしの姿を見るなり、慌てて机の上のものを隠した。


「え、な、なに!?」


かなり慌てた様子の佐藤さんは、その拍子に1枚の用紙を床に落としてしまう。

「あ!」と声を上げた彼女は慌ててそれを拾おうとしていたけれど……

その用紙は偶然にもわたしの足の上で止まった。


「これ……」


そっと拾い上げると、それは手描きの漫画だった。

しかも美青年2人が、抱きしめ合っているシーン。


絵のクオリティーが高くて、思わず見とれてしまう。

でも、その漫画はひったくるようにして彼女に取られてしまった。


「勝手に見ないで!」


普段笑顔の佐藤さんしか見たことがなかったから、こんなに怒った表情をするなんて思わなかった。


わたしが、勝手に漫画を見たから?

それとも……





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