同居人は無口でクールな彼



家に帰ると、この日は珍しく母が誰かと電話をしていた。

しかも声を荒げて。


「え!?事故にあった!?大丈夫なの!?」


思わず小さくなった「ただいま」の声は、お母さんの声にかき消されてしまう。

いったい誰から――?

終始深刻な表情で誰かと話をしていた母が、息をついて電話を置いた。



「あら、鈴香おかえり」

「お母さん、今の電話は――?」

「鈴香、ちょっとこっち来て。座って」

「うん……」


お母さんの表情からがすべてを物語っていた。

何か深刻な状況に陥ってしまったのだと――


「実はね、鈴香。お父さんが事故にあったんですって。今連絡があったの」

「え!?お父さんが!?事故!?大丈夫なの!?」

「ええ、今電話をかけてきたのはお父さんなの。実はね」


混乱しているのか、お母さんの話はいつもよりもまとまりがなかった。





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