同居人は無口でクールな彼
「その間、鈴香を一人にさせておくことになってしまうのよね。定期的に戻ってくるにしても、毎日というわけにはいかないし」
「お母さん、わたしなら大丈夫だから。それに、毎回戻って来ていたら、新幹線代とかで今月の出費すごいことになっちゃうよ」
「そうだけど……でも……」
単身赴任のお父さんはこの1年家を空けていた。
だから、ずっとお母さんと2人きりだったのだ。
でもその生活も少しの間、変わろうとしている。
「ねえ、鈴香、お母さん少し考えたんだけど」
改めてお母さんが口を開いたのは、夕飯を食べ終えお風呂に入ろうとしていたときだった。
「なあに、お母さん」
「お母さんが留守にする間、お母さんのお友達の家にお世話になるのはどうかしら?」
「え?お母さんのお友達の家?」
「ええ。事情を話せば、絶対鈴香のことを歓迎してくれるはずよ」
「でも、迷惑じゃ……」
それに、たった2,3ヶ月だけでも見ず知らずの人の家で暮らすのは気が引ける。