同居人は無口でクールな彼



「鈴香も小さいころ会ったことがあるのよ。それに同じ学校に通っている子もいるから、もしかしたら知り合いかもしれないわね」

「え?わたしの同級生?」

「ええ、ショウちゃんっていう子なんだけど知ってる?」

「ショウちゃん?」


基本的にわたしは学校でクラスの子たちのことを苗字で認識している。

正直、下の名前を憶えている子は少ない。

“ショウちゃん”と言われて、すぐにピンとくるわけがなかった。


それから、話はどんどんと進んでいった。

お母さんのお友達はすぐに快諾してくれたようで、週末の土曜日からわたしはその家でお世話になることになったのだ。

学校でのわたしは相変わらずだったけれど、家に帰ると小さな引っ越しの準備で忙しくなった。


“お父さん、大丈夫なの?”

“だいぶ良くなったよ。知らない人の家でこれから心細くない?”


お父さんとはラインで毎日のように会話をしている。





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