私の運命は、黙って愛を語る困った人で目が離せない。~もふもふな雪豹騎士にまっしぐらに溺愛されました〜
 世にも珍しい妖精たちのダンス。このノーサムの伝承にも残っていない、誰にも聞いたこともない稀有なものだった。どんな魔法なのか、目の錯覚なのか、不思議に空気がきらめいている。

 幼い頃に読んだ御伽噺の中に迷い込んでしまったようなそんな気がして、ティタニアは瞬きも忘れて目の前の光景を食い入るように見つめてしまった。

 ひとしきり妖精のダンスを楽しんだ後、ティタニアは隣に居た彼の方を見て名前を呼んだ。

「スノウ」

 世にも珍しいそんな光景が広がっているというのに、彼はそれよりも、それを見ているティタニアの方を、じっと見て微笑んでいた。その目には一人だけしか映っていない。

 その視線の物語るもの。

 私の運命の人は、自己紹介もせずに諦めちゃう早とちりだし、黙ったまま私に向けての愛を語る困った人で目が離せない。
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