【コミカライズ】私の運命は、黙って愛を語る困った人で目が離せない。~もふもふな雪豹騎士にまっしぐらに溺愛されました〜
 持つ者の貴族令嬢として義務のひとつである救済院の慰問の帰り道、ティタニアは馬車の中から窓の外を見た。

 青々とした緑だ。もうそろそろ、赤く色付いていくのだろうか。ノーサム地方は気難しい妖精が住む、大きな森が広がっている。この地方での主要産業は林業や農業だ。有能な領主である父カールは作物の生産量を増やすために専門家を招いて土壌を改良したり、色々と努力を重ねているようだ。でも、その結果が出るのは年単位で先の話だ。

 先のイグレシス伯爵であり、大商人と言われた祖父のジェームス・イグレシスが遺した遺産は、莫大なものであった。だが、数年に及ぶ飢饉で、領民を飢えから救うために、現領主カールは私財を投げ打った。おかげで餓死する者はいなかったが、危機を凌いだとしても、あまり豊かとは言えないノーサム地方の経営は思わしくなかった。

(もし、なんて思っては、いけない。過去は変わらないし、戻れないもの)

< 60 / 285 >

この作品をシェア

pagetop