【コミカライズ】私の運命は、黙って愛を語る困った人で目が離せない。~もふもふな雪豹騎士にまっしぐらに溺愛されました〜
 パーティの途中、遠方から祝いに来てくれた友人から借りていたものを返そうと思ったティタニアは一旦自室へと戻ることにした。彼女は王都で開かれた舞踏会で出会った聡明な女性で読書という共通する趣味もあり仲良くしていたのだが、この前ある貴重な初版本を貸してくれていたのだ。

 主催で祝われる立場の自分が会場から出ることに迷い、ミアに代わりに取りに行ってもらうことも考えた。だが、一度会場を離れて気持ちを落ち着けたかったこともあり、ティタニアは自ら足早に廊下を進んでいた。

 かちゃりと音を立て扉を開けて、思わず息を呑んだ。ここに居るはずのない人の姿が見えたからだ。

「……ジュリアン? 何、してるの」

 呆然としてそう言ったティタニアを見たジュリアンは留守中に彼女の部屋に入っていたことなど、悪びれもせずに肩をすくめた。その手には分厚い書類袋があった。見覚えのあるそれは、午前中早い時間に祖父の法的代理人から渡された書類で、ティタニアが成人した時に相続されるようになっていた珍しい金緑石の鉱山の権利書類だ。

「そんなに驚くなよ。俺は君の婚約者だからな。たいして見咎められもせずにここまでやって来れたんだ……その不審者を見るような目付きはやめろ。返済期限の近い借金があるから、これで支払う。婚約者である君のものは、いずれは俺のものになるのだから、これは俺のものだろう」

 とんでもない持論を当たり前のように言い出したジュリアンに、ティタニアは言葉を失った。ここまでの侮辱は流石に全く想像もしていなかった。これから将来的に一生一緒に居るであろう彼に、ある程度の常識は持っているとどこかで信じていたかったのだ。

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