旦那様は征服者~慎神編~
「フフ…しばらく僕にしがみついて、離れなかったもんね!ほんと、あの時可愛かったなぁ~!」
莉杏の頬を撫でて、微笑んだ慎神。

「思ってたより痛みはなかったんだけど、なんだか怖さが抜けなくて……」
「なんか僕を頼ってくれてるみたいで、嬉しかったなぁ」
「フフ…」
「ピアス、僕とお揃いでいいんだよね?」
「うん!慎神くんと、お揃い“が”いいの!」
「フフ…そうだね!」

ジュエリーショップに着く。
車を降りる前に、慎神が莉杏の頬を包み込み目線を合わせた。
「莉杏、外に出たらどうするんだっけ?」
「慎神くんから離れない」
「うん」
「慎神くん以外と、話さない」
「うん」
「できる限り、慎神くん以外を見ない」
「そう。できるよね?」
「うん」

車を降りた。
すぐに慎神の手を握る、莉杏。
慎神を見上げた。
「莉杏、行こ?」
「うん!」

「いらっしゃいませ、天摩様」
「うん、頼んでたピアス、よろしく!」
「はい。ご用意してます」
慎神と同じ、フープピアスを出した店員。

「綺麗…あれ?でも、慎神くんのと色が違う?」
「うん、僕のはブラックで、莉杏のはピンクゴールドだよ」
「そっか!素敵だね!」
慎神に微笑んだ。

「では、包装してまいりますので、その間店内をご覧になっててください」
店員が奥に入る。

「慎神くんのネックレスも、ここで買ったの?」
「あ、これ?」
ネックレスを掴んで言った、慎神。
続けて言った。

「これは、親友からのプレゼントだよ」
心なしか、悲しそうだ。
「ごめんね、聞かない方が良かったかな…?」
「ううん。大丈夫。いつかは、話さなきゃとは思うんだけど……なかなかね……」
莉杏は背伸びをして、慎神の頭をゆっくり撫でた。

「天摩様、こちらの新作の商品をご覧になりませんか?」
そこへ、他の店員が声をかけてきた。
「奥様、こちらのネックレス、どうですか?」

「え?あ…」
莉杏は慎神の背中に隠れる。
慎神の言いつけを、破ることになるからだ。

【莉杏、もし声をかけられることがあったら、僕の背中に隠れて!そうすれば、話すことないでしょ?
人見知りなのかなって思われるだけで済むから】

慎神は、莉杏にそう言い聞かせていた。

「ねぇ!君は、情報共有してないの?」
莉杏を背中に庇いながら、慎神が店員に言い放つ。

「え?」
「あ、天摩様!!申し訳ありません!
……………貴女は下がって!」
「え?でも……」
「いいから!」
先程、接客をした店員が戻ってきて慌てた様子で言った。

「天摩様、本当に申し訳ありませんでした!」
丁寧に頭を下げる、店員。

新汰(あらた)に言おうか?」
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